戦後から昭和30年代までは、農家では「自産自消」、すなわち、自分たちの食べるものは自分たちで作って食べる暮らしをしていました。自分の家では育てていない作物は近所の農家と物々交換して手に入れたり、その地域で手に入らない野菜や、めずらしい果実や肉、魚などは行商人から買ったりしていた。

 経済の高度成長に合わせて、農家では、農協の技術指導(流通管理)のもとで、その地域の特産物の野菜だけを育てたり、国が高く買い取ってくれる米だけを育てたりするようになった。その結果、農家であっても、食材としてよく使われるキャベツや白菜、大根、じゃがいも等もスーパーマーケットで買うようになりました。「自産自消」する農家がほとんど見られなくなりました。農家であってもその育て方が分からない野菜が多くなっています。

 これからの農業は「安全でおいしく、栄養価のある」ものを自分たちでつくることが求められている。まず自分自身や家族が自給(自産自消)し、さらには町や市の単位で確実に自給(地産地消)できる仕組みをつくることが大事になっている。国民が食糧難になることがないように、日本の食糧自給率を高めていくことが大事だと思います。

食育、食の安全性への関心の高まりや、高齢社会の到来とリタイア後の自由時間の増大などを背景に、栽培を楽しみ、野菜などを自給自足するなど、農と身近に触れ合う暮らしへの志向が高まっています。こうした「農ある暮らし」の推進は、新たなな住まいのスタイルとして今後の住宅需要、新規住宅建設や住宅流通の掘り起こしにつながることも期待されています。人口減少や地域活力の低下などに悩む地域にとっては、地域の農資源を活用した多様な「農のある暮らし」の形を提供することで、都市部からの移住者を受け入れることが可能となり、新たな地域活性化にもつながる取組みでもあります。